「女性はどのくらい自慰をしているの?」「自分の頻度は多い方なのかな?」。
人に聞きにくいことだからこそ、調査の数字が気になる人もいるでしょう。
ここでは日本女性の自慰の頻度や、米国と比較してどうなのかについて解説していきます。
数字は調査に答えた集団の傾向です。
対象年齢や質問の期間が異なるため、正解というわけではないことをご理解の上お読みください。
1.日本ではどのくらいの女性が自慰行為を経験している?

▤ 研究内容
2024年に公表された「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024」は、日本の性行動の実態を調べた調査です。
2023年11月14~17日に、全国の18~69歳の男女を対象にインターネットで回答を集めました。
※集計対象は男女合計5,029人で、女性だけの人数ではありません。
質問は「マスターベーションをどのくらいの頻度でするか」を9つの選択肢から1つ選ぶ形式でした。
「毎日」から「したことがない」まであるため、経験の有無と普段の頻度の両方を読み取れます。
結果
女性の43.6%が「したことがない」と回答しました。
100%から引くと経験のある女性は56.4%という計算です。
この結果を見た感じ「女性ならみんなしている」「ほとんどの女性はしない」という両極端なイメージでは、実態を捉えにくいことが分かります。
2.日本の女性は、週や月にどのくらいしている?

同じ2024年版の頻度の回答を見ると、経験者の中にも、最近している人と、長くしていない人がいます。
次のグラフの分母は、経験者だけでなく調査の女性全体です。

結果
表示された区分を足すと、週1日以上は11.6%、月1日以上は25.3%です。
※いずれも報告書の各割合を合計した計算値です。
およそ4人に1人が月1日以上と答えた一方、約5人に1人は「1年以上していない」と答えています。
経験があることと、今も定期的にしていることは別なのです。
3.米国では過去1か月にした女性は36.5%

▤ 研究内容
2021年5~6月、米国で成人の自慰の実施状況や頻度などを調べた全国代表調査が行われました。
対象は
18~92歳で、住所から無作為に世帯を選んで招待する仕組みのオンラインパネルを使用しました。
調査の完了者は全体で3,878人で、論文に示された女性の加重集計人数は1,958人です。
この調査の「自慰」は、オーガズムの有無を問わず、性的な快感のために自分の身体を刺激する一人での行為を指します。
「最後にしたのはいつか」と「過去1年を振り返った頻度」を別々に尋ねています。
結果
女性の36.5%が過去1か月にしたと回答し、23.3%は一度も経験がないと回答しました。
過去1年を振り返った頻度で週1回以上と答えた女性は8.8%でした。

4.日本と米国で経験率が違うのはなぜ?

ここまで紹介した調査では、日本より米国の方が、自慰を経験した女性の割合が高くなっていました。
その背景を考える手がかりとして、学ぶ機会・性的な罪悪感・回答のしやすさを調べた研究があります。
女性が自慰について学ぶ機会
▤ 研究内容
2020年に公表された清宮優衣の研究報告は、日本の性教育が女性の身体や性をどう扱っているかを検討しました。
高校の保健体育教科書を分析し、主に大学生へのアンケートや、性教育に携わる教員3人への聞き取りも行っています。
これは大阪大学の学部学生による研究報告書です。
結果
分析された教科書では、男性の身体の説明に自慰や性的快感への言及がある一方、女性側には同等の記述がないことが指摘されました。
このような教材では、女性自身の快感や自慰について、学校で知るきっかけが少なくなると考えられます。
日常に置き換えると、女性の自慰について教わらなかった人がそれを男性だけの行為だと思っていても不思議ではないということです。
出典:清宮優衣(2020)「『理想の女性像』を見直す契機としての性教育」(教科書記述の分析は原報告書PDFの14枚目)。
性的な罪悪感と欲求の関係
▤ 研究内容
2010年にオンライン公開され、2011年に雑誌掲載されたWooらの研究は、文化的背景と女性の性的欲求の関係に、性的な罪悪感がどう関わるかを調べました。
東アジア系の女性大学生137人と、論文で白人と分類された女性大学生105人の計242人が、オンライン質問紙に回答しました。
✓ ポイント
ここでいう「性的な罪悪感」は、性に関わる気持ちや行動に対して、悪いことをしていると感じる傾向のことです。
つまり、欲求の強さだけでなく、自分の性をどう受け止めているかも調べています。
結果
東アジア系の女性は、白人女性より性的な罪悪感や保守的な態度が強く、性的欲求の自己申告が低い結果でした。
分析では、性的な罪悪感が強い人ほど、欲求も低く報告する関連が示されました。
自分の性的な気持ちを受け入れやすいかどうかが、欲求やその表現に関わる可能性を示す結果です。
一方で、この研究は日本人と米国人の自慰経験率を比較したものではなく、自慰の頻度を増減させる原因を確かめた実験でもありません。
他人に知られると思うと、回答が変わる
▤ 研究内容
2003年に公表されたAlexanderとFisherの実験は、性行動について答える状況が、自己申告にどう影響するかを調べました。
米国の大学に通う18~25歳の未婚・異性愛の学生201人(女性105人、男性96人)を、無作為に3つの条件に分けました。
条件は、回答を他人に見られる可能性がある場合、匿名で答える場合、嘘を見抜けると思わせる装置につながれて答える場合です。
装置は実際に嘘を検出するものではなく、正直に答えなければ見抜かれると参加者に思わせるために使われました。
結果
女性は匿名条件や装置の条件で、他人に見られうる条件より多くの経験を報告しました。
この分析で使われたのは、自慰と2種類の性的映像などへの接触を合わせた3項目の指標です。
この結果は、「実際にしたか」だけでなく、どのくらい安心して答えられるかも、性行動の調査結果に影響することを示しています。
例えば、誰かに回答を読まれると思う状況と、匿名性が守られると感じる状況では、話しやすさが変わるということです。
出典:Alexander & Fisher(2003)「Truth and Consequences: Using the Bogus Pipeline to Examine Sex Differences in Self-Reported Sexuality」/大学公開の原著本文。
まとめ
国内外の調査から女性の自慰には経験の有無や頻度に幅があることが分かりました。
この記事のポイントを振り返ります。
- 日本の2024年公表調査では、43.6%が未経験と回答し、経験がある女性は56.4%という計算です。
- 同じ国内調査の区分を足すと、週1日以上は11.6%、月1日以上は25.3%でした。
- 米国の2021年調査では、過去1か月にした女性は36.5%、未経験は23.3%でした。
別の頻度の質問では、過去1年を振り返って週1回以上と答えた女性は8.8%でした。 - 経験率の違いを考える手がかりには、学ぶ機会・性的な罪悪感・回答のしやすさがあります。
これらの研究が日米差の原因を直接確定したわけではありません。
参照:【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024/Herbenickほか・米国全国調査/清宮(2020)性教育の研究報告/Wooほか・文化と性的な罪悪感/Alexander & Fisher(2003)回答状況の実験。



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