女性が自慰をするのはどんな気持ちのときなのでしょうか。
きっと世の男性は「気持ちよくなりたいからやるんでしょ」と考えるかと思います。
でも、それだけじゃないないかもしれません。
ということで本記事では女性が自慰する理由について研究調査を調べてきたのでご紹介します。
1.気持ちよさを楽しみたい・性的な気分になったから

▤ 研究内容 | 女性が自慰をする理由とパートナーとの性行動
場所
米国の全国調査。
テーマ
成人が自慰をする理由とパートナーとの性行動との関係を調べた研究。
2022年にオンライン公開された。
対象
調査全体では全米の18歳以上の成人3,878人が最後まで回答した。
この章の結果はそのうち過去1年に自慰をした女性の回答を集計したもの。
理由ごとの割合は人口構成を調整した加重人数1,137人をもとに算出した。
調査方法
オンラインアンケートで、自慰をする主な理由やパートナーとの性行動について質問した。
自慰の理由は当てはまるものをすべて選ぶ複数回答。
「加重」とは回答者の年齢などの偏りを調整するため、回答に重みを付けること。
つまり、ここで紹介する割合は米国女性全体ではなく、過去1年に自慰をした女性が挙げた理由を表す。
結果
最も多く選ばれた理由は「快感が得られるから」63.6%だった。
続いて、「性的に興奮したとき」49.0%が挙がった。
この2つは似ているが、少し違う視点だ。
気持ちよさそのものを楽しみたいこともあれば、すでに性的な気分になっていて、その気持ちに応じて自慰をすることもある。
複数回答なので、同じ人が両方を選んでいても不思議ではない。
日常の場面として考えるなら、「今日は一人で気持ちよさを楽しみたい」という時間もあるでしょう。
誰かと過ごす楽しさとは別に自分のための楽しみを持つ、という捉え方ができます。

出典:Herbenickほか「自慰の頻度・理由とパートナーとの性行動を調べた米国全国調査」(2022年オンライン公開/2023年掲載)、Table 3
2.ストレスを発散したい・リラックスしたい

結果
米国の同じ調査では快感以外にも、気分に関する理由を尋ねた。
過去1年に自慰をした女性の回答では「ストレスを解消するため」36.2%、「リラックスしたいとき」25.8%が選ばれた。
女性が自慰をする目的には性的な興奮への対応だけでなく、張り詰めた気持ちをゆるめたいというものも含まれていた。
では気持ちへの対処として自慰を使うことについて、さらに詳しく調べた研究はあるのでしょうか。
▤ 研究内容 | 自慰の頻度と心理的な苦痛・自慰による気持ちの変化
場所
スイスの研究(Wehrliほか)。
テーマ
自慰の頻度と、不安や落ち込みなどの心理的な苦痛との関係を調べた研究。
自慰によってどんな気持ちになるかも尋ねた。
2024年に公表された。
対象
過去3か月に自慰をした18~56歳の女性370人。
86%がスイス国籍。
調査方法
2021年1月に匿名のオンラインアンケートを実施した。
自慰をした日数と、心理的な苦痛を尋ねる質問紙の回答を分析した。
自由記述に書かれた体験や気持ちも整理した。
自由記述には気持ちを落ち着ける、自分をいたわる、ストレスに対処するといった経験が現れた。
また、心理的な苦痛が高い女性ほど、クリトリス刺激による自慰の頻度が高い傾向もあった。
結果
研究から見えてくるのは自慰を気分への対処や、自分をいたわる時間として使う女性が多いということだ。

例えば、忙しい一日の終わりに「一人で落ち着く時間がほしい」と感じる場面ということですね。
出典:Herbenickほか「米国全国調査」、Table 3 / Wehrliほか「女性の対処方法としての自慰を調べた研究」(2024)
3.眠る前に気持ちを落ち着けたい

たまに「自慰すると寝つきがよくなる」という人がいます。
それが本当に正しいか研究で見て行きましょう。
▤ 研究内容 | 自慰と寝つき・睡眠の質の関係
場所
オランダ・フローニンゲン大学の研究(Oesterlingほか)。
テーマ
性行動やオーガズムと、寝つくまでの時間・睡眠の質との関係を調べた研究。
2023年に公表された。
対象
質問紙の分析は18~58歳の224人。
14日間の日記の分析は159人(女性103人・男性53人・その他3人)。
調査方法
オンラインの質問紙と14日間の日記を使って調べた。
日記にはその日の性行動の有無・種類、寝つくまでの時間、本人が感じた睡眠の質を記録してもらった。
結果
質問紙ではオーガズムを伴う自慰が睡眠によいという受け止めが見られたが、日々の日記では自慰と寝つき・睡眠の質との明確な関連は確認されなかった。
▤ 研究内容 | 自慰・パートナーとの性行動と睡眠の比較
場所
豪州・セントラルクイーンズランド大学などの研究(Lastellaほか)。
テーマ
性行動をしない夜、単独で自慰をする夜、パートナーと性行動をする夜で、睡眠に違いがあるかを比べた研究。
2025年に公表された。
対象
健康な睡眠者の同居カップル7組、計14人。
女性7人・男性7人で、平均年齢は29.9歳。
調査方法
11夜にわたり、3つの条件を経験する順序を調整して比較した。
頭部に装着する携帯型の睡眠計測機器で測り、毎日の質問への回答も使った。
結果
この研究では自慰をした夜などに、寝ついた後の覚醒時間と睡眠効率の改善が見られた。
一方、寝つくまでの時間や、本人が感じた睡眠のよさには条件間の差が確認されなかった。
「眠るために自慰をする人がいる」のは間違いありません。
でも研究結果をみると「自慰をして誰でも寝つきがよくなる」というわけではないようですね。
出典:Herbenickほか「米国全国調査」、Table 3 / Oesterlingほか「性行動と睡眠の14日間日記研究」(2023) / Lastellaほか「同居カップルの性行動と睡眠を比較した予備研究」(2025)
4.自分の好みや体の反応を知りたい

▤ 研究内容 | 自分の性を知ること・空想を楽しむための自慰
場所
米国の全国調査(Herbenickほか)。
テーマ
自慰をする理由のうち、自分の性を知ることや空想を楽しむことも尋ねた。
2021年に実施された調査。
対象
この章の結果は18歳以上で、過去1年に自慰をした女性の回答を集計したもの。
理由ごとの割合に用いた加重人数は1,137人。
調査全体では3,878人が最後まで回答した。
調査方法
オンラインアンケートで、自慰をする主な理由を尋ねた。
当てはまる理由をすべて選ぶ複数回答。
結果
過去1年に自慰をした女性の回答で、「自分の性を探るため」は12.5%、「自慰中の空想を楽しむ」は16.6%だった。
「自分の性を探る」は自分がどんなことに興味を持ち、何を心地よいと感じるかを知るため
自慰には快感を得るだけでなく、自分の興味や好みを確かめるという目的もあるようですね。
5.自慰をする女性は実際にセックスもしたいのか?

「自慰で満足しているなら、セックスはしたくないのでは?」。
反対に、「自慰をしているなら、セックスにも積極的なのでは?」と考える人もいるかもしれません。
この疑問を考えるには実際の性行動の回数だけでなく、本人がどれくらい望んでいるかを知る必要があります。
▤ 研究内容 | パートナーとの性行動への希望と自慰頻度
場所
米国の全国調査(Herbenickほか)。
テーマ
「パートナーとの性行動を今より多くしたい」という希望と、自慰頻度との関係を調べた研究。
2021年に調査を実施し、2022年にオンライン公開された。
対象
18歳以上の女性。
希望する性行動の頻度と自慰頻度の関連を調べた分析は加重人数1,920人の回答を用いた。
調査方法
オンライン質問紙で、現在と希望する性行動の頻度、過去1年の自慰頻度を尋ねた。
年齢や恋愛関係の有無などを調整し、「今の頻度でちょうどよい」女性と「もっと多くしたい」女性を比較した。
ここでいう性行動は挿入を伴うセックスだけでなく、本人がセックスと捉える行動を指す。
結果
パートナーとの性行動を今より多く望む女性ほど、自慰の頻度も高い傾向があった。
具体的には「今の頻度でちょうどよい」女性と比べ、自慰頻度が高いカテゴリーに入る調整オッズ比は「もっとずっと多くしたい」女性で3.89、「少し多くしたい」女性で2.07だった。
出典:Herbenickほか「米国全国調査」、Table 3・Table 5 / Regnerusほか「自慰とパートナーとの性行動は代わりになるのか、補い合うのか?」(2017)
6.まとめ
女性の自慰は快感、気分、自分を知ること、パートナーとの状況など、いくつもの理由から捉えられます。
一つだけ選ぶ必要はなく、同じ人でも、その日によって求めるものが違うことはあるでしょう。
自分の感覚や、相手が話してくれる気持ちを知るための手がかりとして、研究を役立ててみてください。
参照:Herbenickほか「米国全国調査」 / Wehrliほか「女性の対処方法としての自慰」 / Oesterlingほか「性行動と睡眠」 / Lastellaほか「睡眠の予備研究」


コメント